離してよ、牙城くん。


「ま、豆粒でもいいから、離れなさい……っ」




もう、空気が熱くて耐えられない。


本気の口調で言ったら、「あーあ、残念」とかなんとか言いながら、牙城くんはわたしの横に倒れた。


心臓が暴れていたのが、少しおさまって。


やっと、涼しい空気がわたしを包んで、ほっとしたのもつかの間……。




気づかぬあいだに接近していた彼に、ふわりと抱きしめられた。



離さないとでも言うように、わたしの背中に回された牙城くんの腕。

それに、牙城くんの胸板に顔を押し付けられているせいで、鼻が潰れるんじゃないかと不安になってしまう。



……って、そんなことより!




〜〜こ、このひとは……!

距離感どうなってるの……!?





「……が、がしょーくん?!この手はなに!」


「んー?百々ちゃん抱きしめてる」




「そんなのわかってる……!
なんで、離れてくれないの?!」


「俺、百々ちゃん依存症なんだもん」




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