罪の音
突然の訪問者
"ニュースをお伝えします。昨日午後8時ごろ、妙な臭いがするという通報を受け、警察が捜索したところ、東京都世田谷区の一角で遺体が発見されました。遺体の付近には彼岸花が置かれていたことから、先月から世間を騒がせている、連続殺人犯の仕業とみて、警察は捜査を続けています。"・・・

「おいおいまじかよ。俺達もそろそろ殺されるかもしれないぜ」長男の拓也が少し冗談ぽい口調で夕飯の魚をつつきながらいった。「物騒な世の中になったわ。気をつけるのよ拓也。お父さんもね、」と言って妻の美智子が俺の肩をたたいた。「あぁそうだな。夜はできるだけ人どうりの多いところを選んで帰るようにするよ。」ここ最近世間を騒がせている連続殺人事件。確か今回で5人目の被害者だ。遺体に必ず彼岸花が添えられていることから、ネット上では’’花屋’’という滑稽な愛称までつけられている。「ねえ、そういえばあゆみ遅いわね。塾頑張ってるのかしら。そろそろ大学受験も控えてるものね。」「それにしても最近姉ちゃん帰り遅すぎだろ。昨日なんて夜中の1時に帰ってきたんだぜ。」確かにそうだ。2か月前まではこんなに遅くまで帰らないことはなかったのに、急に長女あゆみの帰りが遅くなっている。勉強を頑張っているのは感心だが、連続殺人の件もある。父としてはできるだけ早く帰ってきてほしい。
ーーーーピンポンーーーー
ひょっとするとあゆみか。リビングから立ち上がりインターホンに応じると、カメラの奥には警察が立っていた。「吉岡さんのお宅で間違いないでしょうか。少しお話を伺いたいのですが。」

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