わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

 部屋で朝食をとることになり、手配してくれた橘部長にお礼を言って、ソファに深く腰かけてお茶を飲んだ。
 この土日は初めてアルバイトを休んでいる。休みの日の朝に、時間を気にしなくていいって贅沢だな、のんびり出来るなあと思っていると橘部長が私の横に座る。

「朝食は九時だ」
「はーい! ありがとうございます! んんん!?」

 急にキスされた。びっくりして体を離したのに、すぐに抱き寄せられて、また唇が触れる。誘うように唇を舐められるから、口を開いた。舌を絡めていると、せっかくさっき振り払ったのに、また芯が熱くなる。
 変だ。私の体は変になってる。


 また荷物みたいにひょいと抱えられて、寝室のベッドに放り出された。

「すこし触っただけで、こんなに濡れて」
「あぁ……んっ!」
「中イキもすぐ覚えて。桜は本当に淫乱だな」
「覚え込ませた、くせにっ……ああっ!」

 指で愛撫されると何かが溢れそう。"そこは気持ちいい所"と教えられてしまった私は、もっと触って欲しいとねだった。触れられていると、熱くてもどかしくて早く欲しくなる。

「もう、お願い」

 自ら足を開く。明るいから恥ずかしいけど、それより早く抱いて欲しい。

「綺麗だ」

 視線をもらえるとうれしい。名前を呼ばれると切ない。指を絡めてるのが、気持ちいい。時々、キスしてくれると昂って、もう何も考えられなくなる。
 すぐに高みに連れていかれて、絶頂を迎えて震えた。

 ……あれ? どうしてこうなった?
 こうならないように朝ごはん行きましょうと誘ったのに……。


 二人で吉備津神社へ行き、岡山駅に戻ると母から連絡があった。新幹線に乗る前に、どうしても会いたいのだという。私と二人きりで話がしたいと言われたから、橘部長には岡山城に観光に行ってもらい、ホテルのロビーラウンジで待ち合わせた。

 母が来て、席に着くなりいきなりこう言われた。

「桜、やっぱり母さん、結婚の事を考え直して欲しいんじゃけど」

 なんとなく、そう言われるような気はしていた。
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