永遠に咲け

【紀野の策略】

「今時、手紙?」
「なんか、逆にキモくない?」
咲愛は今、会社の喫煙所で里花や他の社員達といる。

「でも…とっても心がこもってたよ!」
「咲愛、読んだの?中身」
「え?もちろん!
失礼でしょ?ちゃんと読んで返事しないと…」
「………
まさか、返事書くとか言わないよね……!?」
「え?書いたよ。
今から渡しに行こうかと……」
「えー!」
「何て、書いたの?」
「ん?
お気持ちは嬉しいけど、他に好きな人がいるからって書いたよ。
ほら、お兄様のことは言えないから…」
と最後だけ、里花に耳打ちする。

「咲愛」
「ん?」
「気をつけなね!」
「は?」
「その手紙の主、なんかヤバい気がする」
「うん、紀野さんでしょ?
暗いし、無口だし怖いもんね!それに手紙で告白……」
里花や他の社員が口を揃えて言った。

「う、うん。わかった」
「あと、中森さんと永久さんには話しなね!」
「え?どうして?」
「ん?一応!」
「うん…わかった」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「紀野?」
「うん、庶務課の男性社員さんだよ」
「手紙ですか?」
「うん。やっぱ変なの?」
「変と言うか、今時…?とは思います」
「まぁそうだけど、心はこもってたよ。
…………でもこんなこと聞かされても、興味ないよね……」
「いえ…そのようなことありませんよ」
「里花がね、話しておけって言うから一応……」
「さようですか。
咲愛様、あなた様の事で興味ないなんてこと一つもありません。
たとえ小さな事でも、教えてください。
…………
あなたの事は全て知りたいんですから…全て……」

「え?何?」
「いえ…」


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