永遠に咲け
「あなたは……」
「お好きにどうぞ。
お父様は、私が守ります!」

そう言って、咲愛はサイドテーブルの上にあるスマホを素早く取った。
そして、永久に電話をかけた。

「あ、永久!?
助けて!!紀野さんが……
キャッ……!」
紀野にスマホを取り上げられ、下に投げつけられた。

「もう、こうなれば━━━━━」

ガンッ━━━!
途端にドアが開き、中森が入ってきた。
そのあとは、ただ他人事のように咲愛は見ていた。

紀野は中森によってぼろぼろに殴り付けられ、その間に永久が屋敷に帰りつき、今度は永久によってなぶり殺された。

見るのもおぞましい姿になった、紀野。

そして永久は、咲愛の元に来て抱き締めた。
「大丈夫……もう大丈夫だよ」

「永久」
「ん?」
「私は、永久と一緒にいたいだけなの」
「うん…」
「でも、私のせいでお父様が不幸になる」
「え?」

咲愛は紀野と話したことを、永久に全て話した。

「そう……」
「お父様が不幸になるなら、私は━━━━」
「放れないよ!」
「え?」
「放さないよ。何があっても……
言ったよね?
一番最初に。
これから待ってるのは“地獄”だって。
それはここの人間、全ての地獄だよ」
「え━━━━
私は、永久と私だけが地獄に堕ちると思って……」
「でも大丈夫。
兄貴の事もちゃんと守るよ。
兄貴が大事なのは“大河”の名前。
あと百合愛さんと咲愛とこの屋敷。
それくらいなら、守れるよ」
< 59 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop