永遠に咲け
大河の禁忌
「何だ、話って」
それから3日後、永一が帰ってきた。

「兄貴、知ってるよな?
ほんとは、全て………」
「え?」
その言葉に驚いたのは、咲愛だった。

「フッ…!
俺に知らないなんて事ないぞ」
「咲愛、ごめんね…兄貴は最初から知ってたんだよ。
俺達の関係」
「え?じゃあ…どうして、お父様は何も言わないの?」
「何か言ったとこで、何も変わらないからだ」
「え?」
「永久がお前に惚れる予想はできていた。
まさか、お前まで永久に惚れるとは思わなかったが……」
「どうして?」
「百合愛とお前は、そっくりだ。
永久の初恋の相手が、百合愛だから。
手に取るようにわかったよ。
お前の成長と共に、永久が惚れていくのが……」
永一は、煙草を吹かしながらまっすぐ咲愛を見て言った。

「お父様は分かってて、私達が禁忌を犯しているのを黙って見てたの?」
「そうだよ。
咲愛が永久と生きていくと決めた時から、ここの人間はお前達の為にずっと動いていたんだよ」

「え━━━?それって……」

「紀野みたいに、消すってことだよ。
咲愛」
「え………?」
「ほんとは咲愛にこんな残酷なこと、知られたくなかった。だから、兄貴に知られないようにしろって、みんな言ってたんだ。
兄貴に話すということは、咲愛が全てを知るということだから」


咲愛はたった今、初めて気がついた。

“地獄”とは、一生永久と裏の世界で陰になって生きていくことではなく、二人の関係を壊す者を消していくということ。
そしてそれを、良しとして生きていくこと。

身内で愛し合うこと、犯罪を犯すことに、目を瞑り生きていくということなのだ。
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