強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
「あいつ、日本酒手酌で飲むんすよ。女子で日本酒手酌するヤツ、います?オレ初めて見ましたよ。ほんとオヤジっつーかなんつーか」

向井があいつ、と親しげに呼ぶのは、向井の同期である三好 一華のこと。

…多分無意識なんだろうな、向井は。

俺と飲みに行く度に三好の話をしているのも、その言葉とは裏腹に優しい顔をしているのも。

会社近くの居酒屋玄海にて。

向井 大地は入社2年目の俺の後輩で、昨年俺はこいつの教育係だった。

その時から2人でよく飲みに行っていたが、そのうち向井の口から三好と言う名前が頻繁に出てくることに俺は気付いた。

向井は俺と一緒で女に縛られたくないからと、特定の彼女を作らないスタンスの男だった。

俺の目から見てもイイ男の向井に寄ってくる女はたくさんいたが、そういうのを割り切れる女だけ選んで適当に付き合っていた向井。

そんな向井に毎回こんな顔をさせる三好って、一体どんなヤツなんだ。

ーーそう。最初は、ちょっとした好奇心だったんだ。
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