強引上司は虎視眈々と彼女を狙ってる【7/12番外編追加】
「…一華、宇野部長と仲良かったっけ?」

宇野部長、あんたしか見えてなかったみたいだけど?と、2人がいなくなった後由香里は面白そうに私の顔を覗き込む。

「…いやいや。仲良いって言うか、あの人私を揶揄うことを趣味にしてる人だから。私を見ると揶揄わずにはいられない病気なんだよ」

「でも何か、揶揄い方に愛があるよね」

「…愛⁉︎」

「部長の、一華を見る目がなんか優しかった」

「……」

『向井を見る目が優しかった』

それは、部長が私の向井への恋心に気付いた理由。

…由香里さん…

その定義で行くと、部長が私のことを好きってことになっちゃうんだけど…?

…いやいやいや…

ない。ないよね?違うよね?

私を見る目が優しかったなんて。

うん、由香里の気のせいだよ。

「…家が近所で行きつけの飲み屋がたまたま一緒だったっていうだけの、ただの飲み友達だよ!」

「……飲み友達?」

「そう、飲み友達!」

「なるほどねぇ」

何がなるほどなのか、そのタイミングでそろそろ挙式会場への移動をお願いしまーす、と言うプランナーさんの声が響いて、この話はそれまでとなった。
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