君がくれた花言葉
それから3日が経った。僕は明日退院することになった。とても急だった。ホントはもう少ししてから退院する予定だったらしいが、僕のお母さんが少しでも早く学校に行かせたいから、とかいう理由で早めてもらったらしい。ホントにとんだ迷惑だ。少しは僕の気持ちを考えてもらいたいもんだね。さぁ、優月になんて言おうか。

「おはよう優月。ちょっと話したいことがあるんだけど。」

「うん。明日退院するんでしょ?」

「そう、それなんだけど…。じゃなくて何で知ってるの?!」

「松岡さんが教えてくれたの。内豊くん明日退院するから今日のうちにちゃんとお別れしときなさいねって。」

「そうだったんだ。ごめんね、急に決まっちゃってさ。ホントはもう少し後のはずだったんだけど…。」

「内豊くんが謝ることじゃないよ。早く退院できて良かったね。」

「ありがとう。ちゃんと毎日お見舞い来るから。」

「うん。でも無理はしないでね?」

「わかった。あ、そうだ。優月は何の花が好き?」

「花…?」

「理由言ったらカッコつかないけどお見舞いの時に優月が好きな花持ってきたくて…。」

「なるほどね。花なんていいのに。…そうね〜花は色々好きだけど、強いて言うならリィンカーネーションかしら。」

「…リィンカーネーション。」

「そう。リィンカーネーション。青色のカーネーションよ。」

「何でその花が好きなの?」

「うーん。花言葉が好きなの。」

「花言葉…?」

「花の種類とか色とかによって意味があるでしょ?それが花言葉。どの花もすごくいい言葉があるの。その中でも1番好きなのがリィンカーネーションの花言葉。」

「そうなんだ。どんな花言葉なの?リィンカーネーションは。」

「リィンカーネーションは……まだ言うのやめとく!」

「え、なんで。教えてよ!気になるじゃないか。」

「いずれ教えるわ。少なくとも私が生きてるうちに。何か今じゃない気がするの。」

「…そっか。じゃあまだ聞かないどくよ。」

「うん。絶対教えはするから。お楽しみに。じゃあ私はもう寝るね。別れは寂しいから明日は会わない。次会うときはお見舞いの時にしてね?」

僕的に明日話せないのがとても嫌だったが、優月からの頼みだから聞かない訳にはいかなかった。

「わかった。じゃあまたお見舞いの時に。」

「うん。おやすみ。」

「おやすみ。」

あぁ、こんなことになるなら、もっと君と話せばよかった。もっと君の声を聞いておけばよかった。もっと君を見ておけばよかった。
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