神殺しのクロノスタシス3
──────…学院長室で、スイートポテトパーティを開催している頃。

僕とすぐりさんは、相変わらず無言の攻防を繰り広げていた。

今日の、すぐりさんの心の中。

さっきツキナさんが言ってた、お花畑のことでいっぱい。

違うんだよ、お花畑のことなんかどうでも良くて。

僕が見たいのは、お花畑で蓋をした、その向こう側。

心の深淵の仮面に、辿り着くところまでは出来るようになった。

問題は、ここから。

この仮面を、どうやってひっぺがすか。

連日訓練を重ねて、気づいたことがある。

この仮面、もとい蓋。

確かに、この蓋で本心を隠してはいるのだけど。

この蓋、鍵は掛かっていないのだ。

つまり、開けようと思えば開けられる。

それどころか。

誰しも、完全に本心を隠すことは出来ない。

羽久さんみたいに、多重人格者でもない限り。

完全に、自分を偽ることは出来ないのだ。

心というのは、その人の魂そのもの。

魂を、自分で隠すことは出来ない。

故に。

いくら本心に蓋をしても、その蓋に鍵は掛かっていない。

それどころか、所々、亀裂がある。

隠そうとしても、完全には隠しきれない本心の隙間。

僕はこれまで、蓋そのものを叩き壊す方法を考えていたけれど。

蓋を壊す必要はない。

肝心なのは、蓋の向こう側を覗き込むことなのだ。

だったら。

「…」

蓋から所々漏れ出ている、小さな亀裂。

その小さな亀裂に、指を突っ込んで。

奥にある本心を、引っ張り出すイメージで。

心の仮面の、僅かな亀裂を見つけろ。

その亀裂の隙間に、細い糸を通して。

中にある本当の心、仮面の向こう側を手繰り寄せる。

それが、僕なりに考えた、「心の仮面対策」であった。
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