神殺しのクロノスタシス3
嘆いてなんていられない。

落ち込んでなんていられない。

記憶がなくなったから、何だ。

じゃあ思い出してもらえば良い。

延々と目を覚まさない、厄介な白雪姫を起こすより、ずっと希望が見える。

例えナジュが、俺達のことを覚えていなくても。
 
「俺達は、誰もあいつのことを忘れてなんかないんだから」

何一つ、なかったことにはならない。

ナジュと出会って、一緒に過ごした日々は。

あいつが忘れても、俺達が覚えてる。

なら、何の問題もない。

「全く、次から次へと、やることを増やしてくれる人ですね。困ったものです」
 
「それでも、確実に前に進んでるよ。大丈夫」

「不死身先生、僕のこと思い出してくれるかな?」

「『八千代』は影が薄いからねー。先に思い出すとしたら俺だろうね」

「いやいや、私でしょ。紅茶クッキーで起こしてあげたの私だし!」

あれは偶然だろ。
 
別に、何順で思い出そうと、誰順で思い出そうと構わない。
 
「絶対…前のナジュに戻ってもらうからな」

俺はお前が目を覚ましたら、色々言わなきゃならないことがあったんだ。

お前が俺のことを思い出してくれなきゃ、折角目を覚ましてくれた意味がないだろ。

だから。

意地でも、絶対…もとに戻ってもらう。
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