神殺しのクロノスタシス3
重要な情報をくれたお婆さんに、手厚く礼を言って。

クュルナ達との、待ち合わせの時間に間に合うように。

走って、トラーチェの駅まで向かった。

そこには、既にクュルナ、エリュティア、無闇の三人が待っていた。

「悪い、待たせたか」

「いえ…。私達も、今しがた合流したばかりなので」

そうか。

本当は、もう少し早めに帰ってくる予定だったのだが。

意外にあのお婆さんの話が有益で、つい話し込んでしまった。

だが、何の手土産もなく、手ぶらで帰るよりはずっとマシだ。

「それで…クュルナ。図書館で、何か分かったか?」

「はい、一応は…。トラーチェの図書館の司書に尋ねて、資料探しを手伝ってもらったんですが、全くあの図書館の司書」

クュルナは、何やらお怒りのようだった。

「第一声が、『あんな伝説を調べに来たんですか?』ですよ?信じられます?眉唾な都市伝説だろうと、調べ物に来た人がいるなら、誠意を持って対応しなさい。全く」

「はは…」

まぁ、地方の図書館に、王都の王立図書館ほどの手厚いサービスを受けるのは、期待しない方が良い。

とはいえ、図書館の司書さんなら、地元の都市伝説くらいは知っていて欲しいものだ。

真偽の程は問わないにしてもな。

「仕方ないので、ほぼ自分で調べましたが…。やはりこの土地には、桔梗谷という人の住む村が存在していたそうですね。今も、そこに人がいるのかは別にして…」

…。

「そして、桔梗谷の名前も載っていました。それほど詳しくはありませんでしたが。それと…もう一つ、気になる点が」

「気になる点?」

「はい。これは地方のオカルト雑誌の記事なので、あまり信憑性はないんですが…」

「構わない。この際、情報は何でも手掛かりだ。眉唾物でも良い。何でも話してくれ」

と、無闇。

さすが、分かってらっしゃる。

「…分かりました。では言いますが…。この土地には、桔梗谷伝説と同時に、その桔梗谷の中で、生き神様伝説というものが存在している…と」

…来た。

「生き神様伝説…?」

「何だ、それは?」

エリュティアと無闇は、まだ知らないようだ。

「雑誌によると、いくつかの未解決の女性行方不明事件の真相は、その生き神様伝説による被害者なのではないかとのことです。それで、その生き神様というのは…」

「不思議な力を使って、桔梗谷を守る若い女。そうだろ?」

「…!ジュリスさんもご存知でしたか」

「あぁ、つい今しがたな」

お婆さん。あんたの情報は、本当に有益だったよ。

お陰で、クュルナがオカルト雑誌から聞き齧ってきた情報に、信憑性が生まれた。

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