私の知らない恋の話。
本当だったら私はこの家で一人暮らし……なはずないよな?
今気づいたけど、1人で借りるには大きすぎる、気がする。
元から、嵌められてた……しかないよね。


心の中でため息を吐きながら、やることを終えた私はリビングに戻る。


「今日の夕ご飯はよろしく」
「ん、りょーかい」


私の目の前に座って早々に箸を手に持つこの男は八城もえぎ。
5歳くらいから小学校の中頃くらいまでは割と仲良くしてて、まぁ次第に遊ぶ友達が変わった私たちは疎遠に。
中学はギリギリ校区が違って会うことも滅多になくなった。


で、受験もそれなりに高校入学。
家からが遠かったから、一人暮らしをすることになったんだけれど。
もともと1人で住む娘に、2部屋にリビングキッチンの揃ったマンションの一室を与える親なんていない。
……はなからこいつと住ませる予定だったんだろうな。
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