私の知らない恋の話。
幼なじみという壁
朝倉深凪。




俺が、物心ついたときから、ずっと片想いをしている相手。
とりあえず可愛い。
はっきりした性格がトゲに感じるけど、根はいい子。
昔から泣いてばっかりだった俺を無視したことなんてなくて、いっつも隣に来て頭を撫でてくれた。


『泣かないの』って、この言葉を聞くだけで、安心できた。


大きくなるにつれ距離ができて、その分なぎを求めてしまって、それから俺は親が仲良い、なんて好都合を利用して、高校、なぎと同居することに成功した。


……そしたらどうだ。



性格は何も変わってないなぎなのに、成長するにつれて気づいたら洗練された美少女になってしまっていて、すごく……モテる。


「深凪ちゃん、おはよ〜」
「あ、真緒くん。おはよ」
「今日何に出るの?」
「100メートルの補欠〜。多分走らない」
「ちぇ、深凪ちゃんが頑張ってるとこ見たかった」
「残念」
< 43 / 60 >

この作品をシェア

pagetop