秘する君は、まことしやかに見紛いの恋を拒む。
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マンションの前で秋世さんの事を待っていると、しばらくしてマンションの側に秋世さんのものらしい車が停車した。
秋世さんの方も待っていた私の姿に気がついたらしく、車を降りて声を掛けられる。
秋世さんの事を全身で警戒しているのか、思わず身体がビクッと硬直した。
「すみません、待ちました?」
「あ、いえそんな、わざわざ迎えに来て下って」
(・・・ん?)
ありがとうございます。無意識にそう続けようとした口をつぐむ。
秋世さんにお礼を言う事は自分の中で不本意極まりない。
「お気遣い有り難いですけど、秋世さん全部強引です。電話も私が返事する前に切っちゃうし、それに私食欲があんまりな・・・って、わっ」
秋世さんに物申す私の言葉を遮るように急に手を取られ、思わず声が跳ねた。
決して強い力で引かれた訳ではなかったが、一日中何も口にしていなかったせいかまともに力の入らない身体は秋世さんの腕に引かれるままだ。そのまま車の中に連れ込むように乗せられて、改めて自分の非力さを実感する。
「腕、元々そんなに細いんですか?」
運転席に腰を下ろした秋世さんにそう尋ねられ、ニットの袖をまくって自分の右腕を見てみた。
改めて見てみると、いつの間にか自分の腕が少し骨張る程にほっそりと痩せていた事に気がつく。元々痩せ型の体型ではあったが、ここまでではなかった。
「・・・ちょっと、痩せたみたいです」
思い返せば、食事をまともに摂らなかったのは何も今日に限った事ではない。高人さんと連絡が取れなくなってからは、そのことばかりで頭がいっぱいになり食事が喉を通らなくなっていた。
さっき身体にまともに力が入らなかったのも、何も今日だけでなくこれまでの食生活が積み重なって体力が減っていたからだろう。