それでも、先生が好きでした。
――シャッ…
「あ、起きた?」
あたしのいるベットのカーテンを開け
顔を覗かせたのは保健の先生。
「調子…どう?
どっか痛いとかある??」
ゆっくりとした口調で話す先生は
まるで母親のようで。
「ちょっと…頭が…」
あたしは素直に言葉を発していた。
先生はそっと、あたしの額に手をのばし
「…熱はないみたいね。
疲れてるのよ、きっと。」
熱がないことを確認すると
そっと頭を撫でてくれた。
「担任の先生が
ここに来たいって言ってるけど…
大丈夫??」
――え?
「担任…って
高田先生が…??」
保健の先生の想定外の質問に
思わず目を見開くと
「あなたのこと
すごく心配してるの」
そう、クスりと笑った。
「あ…えと…はい…」
嫌、なんていう理由はない。
先生に…会いたい。
あたしの返事を聞いた先生は
「少し待っててね?」
と言って側を離れると
「―もしもし、新井です。
那智さん目覚ましてますので…
…はい、いつでもどうぞ。」
そう言って電話を切った。