それでも、先生が好きでした。





何も言わないあたしに

彼女はもう一度微笑むと


「どうして一緒に帰ってるの?」


ゆっくりと、あたしに問うた。







男子たちはじゃれあい

女子たちはそれぞれが楽しそうに話しをし合う

いつもと何もかわらない朝。



あたしと宮城さんの周りだけが

別世界のように思えるほど



あたしの頭は真っ白で。





「その……それは………」



言葉が出てこない。




何をいえば良いのか

わからない。







じっとあたしを見る宮城さんから

視線を逸らしては、絡めて、



そんなあたしに

宮城さんは静かに笑う。



「ごめんね」





いろんなことがわけわからなかったあたしに

追い撃ちをかけるかのような謝罪。





てっきり

「神谷くんから離れて!」

なんて喧嘩でも売られるんだろうと思っていたあたしは


彼女の目的が

なに一つわからない状況にいた。




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