それでも、先生が好きでした。
「席つけ〜」
そんなあたしを
救うかのようなタイミングで
先生が教室にやってきた。
「あちゃ―」
ペロっと舌を出しながら
宮城さんは肩を竦め
「また後で
ゆっくり話してもいい?」
椅子から立ち上がりながら
可愛いらしく首を傾げた。
「あ…うん…」
それに比べて、あたしは。
なんて可愛いくないんだろう?
彼女に気遣って
笑みを浮かべることすら
あたしには出来なかった。
そんなあたしに
宮城さんは嫌な顔一つしないで
あたしの元から離れて行った。
あたしは、どうすれば…
拓哉や先生の気遣いを
無駄にしたくないと思った。
あたしを想ってくれた人に
頼っていこうと決めた。
だけど。
その裏で、悲しい想いをしている人がいるとしたら―…
あたしは、何を優先したらいいの?