となりの紀田くん
*好き*


*好き*




準備に準備を重ねて
ついに文化祭が訪れた





「よーし、気合い入れてくよ!!」





「ゆあ、ずいぶんとやる気いっぱいだね」





相変わらずおっとりな鈴が
笑いながら言う





「当たり前じゃん!!!」





だって、だって、だって!





部門一位取ったクラスには
温泉旅行プレゼントだよ!?





「やっぱり温泉旅行狙い?」





「もちろん!」





普段なかなか
行くことのできない
温泉旅行………





しかもお金は全て
学校持ちなわけで………





つまりこれは
一位を狙うしかない!!





その為には紀田に
頑張ってもらわなきゃ
いけない!!!





いけないのに…………





「あ?俺やんねえよ?」





はぁああああああああ!?





何言っちゃんてんだ!!





「バカ猿!ふざけないで!私には温泉旅行がかかってんのよ!!」





「知るか………ってか猿はお前だろ」





不機嫌な紀田の顔は
だいぶ歪んでいる




まあ、いつもの事か………





って、そんなことは
どうでもいい!!!




「紀田頼むよー!」




「俺たちも温泉旅行、行きてーし」





「そうだよ、紀田くん!みんなで優勝して、一緒に温泉旅行、行こうよ!」





「っち………めんどくせえな。」





とか言いつつ
スーツに着替えて
きてくれる紀田




私の言うことは
聞かないくせに………




私が口を尖らせて
紀田を睨みつけると




「顔……終わってんぞ」





無表情で私を貶す




このやろう!!!




私が勢いよく拳をつき出すと
それをいとも簡単に掴んで
グイッと引き寄せる





そして耳元で




「嘘だよバーカ」





なんて囁く





こ、こいつ付き合ってた
時より私の扱いが
上手くなってる!?




いや、私が付き合ってた
時以上に紀田に溺れてる
だけかもしれない………
< 142 / 370 >

この作品をシェア

pagetop