となりの紀田くん



「お風呂上がりには、なんと言ってもこれ!!」





私はコーヒー牛乳を
飲みながらイスに座る





「文化祭、部門一位取れてるといいな!!そしたら温泉旅行だ!!」






シーン………………




誰もいない
静まり返った
リビング………





「…………………はぁ」





溜め息をついて
目を伏せる






「私、本当に羽麻くんの彼女でいいのかな………。」





本気で私を好きだと
言ってくれる羽麻くんの
気持ちを踏みにじんでるような
罪悪感でいっぱいになる………





いくら一方的
だったからって
強く拒めなかったのも
また事実………





「ゆあ…」






「ぬわっ!!」





見上げれば
そこには柚の姿がーーー




い、いつの間に!?





てか、あまりにびっくりしすぎて
変な声出ちまったじゃんか!!
柚のアホ!!






「いきなり声かけないでよ!」






心で悪態をつきながら
眉間に皺を寄せて言う。





「紀田と付き合ってるんじゃなかったの?」





そうやって近づく
柚の表情はいつになく
真剣で………





「別れたよ…今は羽麻くんと付き合ってるの………」






嘘………ではないよね?





「誰だか知らないけど……俺、認めないから。」





「え?」




柚の言葉に驚く





「姉貴には紀田じゃなきゃダメなんだよ…」





「そ、そんなの柚が決めることじゃないじゃん!」





ムッとして
口調を強める




何にも知らないくせに。
いつも紀田のこと
貶してるくせに
いきなり何なの?




「とにかく、俺は紀田以外認めないから」




それだけ告げると
自室へ戻っていった。




何よ何よ何よ!
柚のバカ!




私は、私を好きだと
言ってくれる
羽麻くんを
好きになるんだ………




自分でそう決めたんだ。




柚が決めることじゃない。





私はこれから
羽麻くんを好きになる
努力をするんだ!!





つまりそれは
紀田を忘れる努力にも繋がる






私は柚に対しての
怒りをおさめるべく
自室に戻って眠りについたーーー
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