となりの紀田くん



昼食後も
ずっと上の空な鈴に
私はもう一度
問いただしてみる





「ねえ、鈴………やっぱり変だよ!何かあったでしょ?」






「やだなー、何にもないよ?」






またそうやって
笑って誤魔化すの?






「私ってそんなに頼りないかな?」






「へ?」





「あっ…………」





なに言ってんだ、私。
頼りないのなんて
目に見えてるじゃんか。






そして、この悲しい気持ちは
一体何なんだろう?





鈴にとって私は
どんな存在なんだろう?






いつも自分のことより
私のことを優先して
考えてくれる鈴が





私は大好きで






だから鈴が困ってるときは
力になってあげたいんだけど






なんか空回って
ばかりだな…………






キーンコーンカーンコーン






「何でもない!無理に聞こうとしてごめんね!じゃあ、また放課後」






私はそれだけ残して
自分のクラスに戻る






ーーーーーーーーー





「で、何でお前まで落ち込んでるわけ?」





「だってぇええええ」





結局、放課後
鈴には用事があるから
ってフラれて…………





只今、紀田と瑠威と帰宅中。





「鈴ったら私に何も相談してくれないんだもーん!」





「それは、ゆあが頼りないから………」





ギロッ





「瑠威、何か言った?」





「いいえ、何も…………」





「つかさ、だったら梓に聞けばいんじゃね?」





「おお!そうか!紀田Nice idea!」





やるじゃん紀田!





「てか、それくらい思いつけよな。そんなんだから万年2位なんだよ、お前は…………」





ボコッ





「いって!何すんだてめぇ………」





不意討ちストレートパンチ
大成功!!!☆キラッ←





「そうとなれば、まずは梓くんを探さなくちゃ!!」





「噂をすればあそこに………」





「てめぇ、無視してんじゃねぇ!!!」





「本当だ!梓くんだ!」





「行こう!ゆあ」





隣でギャーピーギャーピー
騒いでる紀田を置いて
瑠威と一緒に梓くんの
もとへと向かうーーーーー





「梓くーーーーーー!!?」






私は走る足を止めて
目の前の光景に
目を疑った。





確かにそこには
梓くんがいるけれど
隣にいるのは
鈴じゃなくて





見知らぬ女の子が
梓くんの腕に絡み付いている





なにこれ?
これ、何かの間違いだよね?
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