となりの紀田くん
「いやーでも、夏祭りで姉貴が刺された時はまじ焦ったわ」
私と反対側の
イスに腰を掛けながら
柚がそんなことを言う
「あ、刺されたと言えば………梓くんの妹………杏里ちゃんどうなったの?」
疑問に思っていたことを
思い出して聞いてみる
「あー、杏里ね。」
少し悲しげな顔をした柚を
不思議に思いながら
柚に耳を傾ける
「あいつね、一度は警察に保護されたけど、あいつの両親と梓先輩の説得で何とか逮捕されずに済んだみたい…………姉貴も別にそれでいいだろ?」
「まあ、うん………。でも、彼女のせいで私の記憶がなくなったて思うとちょっと許せないよね…………」
遠い目で柚の
後ろに広がる壁を眺める。
「許してやってよ。アイツにもアイツなりの理由があるんだ。」
悲しそうに切なそうに笑う柚に
かつての自分が重なる。
もしかして柚……………
「好きなの?」
「は!?」
「杏里ちゃんのこと」
「は!?何言ってんの!?ば、バカじゃねえの?」
私の質問に柚が
真っ赤な顔で
否定する…………
我が弟よ
顔が否定してないぞよ?
「あら、柚。好きな子できたの?それじゃ脱シスコンね!!」
いつの間に現れたのか
顔を輝かせながら
母が柚を見る
「ち、ちげえって!」
「お母さん良かったねえ。柚が普通の男の子になって!」
柚の顔をニヤニヤ笑顔で
見ながらお母さんに
話しかける
それに答えるように
お母さんが頷く
ってかmotherよ…………
柚が重度のシスコン
だって薄々勘づいてたんかい!!
「お前らウザい!!しね!!」
なんて捨て台詞を残して
2階へ逃げ帰る柚
「可愛いところあるのね、柚も」
「しねなんて言う奴の、どこが可愛いんだか………」
「「あはははははっ」」
母と顔を見合わせて
二人して笑った。
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「おはよー」
「あ、おはよ!ゆあ」
「おはよ、ゆあちゃん」
通学路でたまたま見つけた
鈴と梓くんに声をかける
「ねえ、二人に話があるんだけど………」
私は昨日の出来事を
二人に話してみることにした。