となりの紀田くん



「てめぇ、何でゆあと一緒にいんだよ」





過去に一度だけ
見たことあるような
怖い顔で





昴さんを睨み付ける紀田






私、何も言ってないのに……





「ハハッ」






あまりにも嬉しすぎて
笑いが溢れる





そんな私を驚いた顔で
凝視する3人





「何、笑ってんの?」




私のせいで怒りが
消えたのか
呆れた顔して
紀田が言う





「いや、だってさ…………私、何も言わずに居なくなったのに、紀田も瑠威もすぐ私のこと見つけちゃうんだもん………なんか、それって嬉しいなって思って………」





笑いが止まらなくて
涙目になりながら話す私。





「なに、お前…………」




「ちょー可愛いんだけど」





紀田の言葉の後に
瑠威が続く





「なるほどね…………」





「へ?」





さっきまでみんな同様
驚いた顔していた昴さんが
いつの間にか無表情な顔で
意味不明なことを呟く。





「ますます、君の事を手離したくなくなったよ」





そう言って私の手を
握る昴さん





悪い人に見えないなんて
思ったけどやっぱり………






昴さんは何を考えてるのか
分からなくて怖い





鈴が言ってた通りだ。





「おい、離せ!」




「ゆあに触んな」





紀田と瑠威。
二人の言葉が重なる





私は今にも昴さんに
殴りかかりそうな二人を
握られていない方の手で
来るなと合図をして





昴さんの瞳を真剣に
みつめる





「悪いけど…………記憶のない私にとって一番大事で大好きなのは、あの二人なんで………もう、私たちに関わらないで下さい。私は、昴さんのことを好きにはならないです………さようなら」






昴さんの手から
自分の手を引き抜いて
二人の元に駆け寄る





「行こう」





私の言葉に頷く二人。





紀田は最後まで
昴さんを睨み付けていて
瑠威はベーっと下を出していた。





ーーーーーーーーーーー




「好きにはならない………か。ますます気に入ったよ、ゆあちゃん。」






去っていく3人の
後ろ姿を見つめながら
昴はそんなことを
呟いていたーーーーー
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