となりの紀田くん



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学校から少し離れた
大通りの小さなカフェ





「で、私に何の用ですか?」





私の向かい側正面の
席へ腰を下ろした
昴さんに単刀直入に
質問をする






「恋人に対して、ずいぶん冷たいなー。俺、悲しいよ」





アハハと、ちっとも
悲しそうじゃない
口ぶりで笑う





この人、まだ私を
からかうつもりなの?






「冗談は止めてください、昴さん。鈴や梓くんに聞きました………恋人なんて嘘だって………」






「彼らの言葉を信じるの?」





「へ?」





今までヘラヘラと
笑っていたくせに
急に真剣な顔で
私を見つめる彼





「信じるの?」





「信じますよ。二人は嘘なんかつくような子じゃありませんから」






「友達思いなんだね…………」






一体、何が言いたいんだろう?





「まあ、確かに恋人っていうのは嘘だけどね………」






ほら、やっぱり。






「話は、それだけですか?」






「いや、もうひとつ………」






そう言って真剣な顔を
崩し笑顔に戻る





なんか、この人の笑顔を
見てると悲しい気持ちになる。





だって全部作り笑いなんだもん。






「裕也に伝えといて欲しい事があるんだ」






そういえばさっきも
思ったんだけど




「昴さんは紀田の事を知ってるんですか?」





裕也なんて親しげに呼ぶから
ちょっと気になってしまった。






「あぁ、知ってるよ………あいつのことなら何だって。」





意味深に呟く
昴さんになんだか
一瞬だけ寒気がした。





「そうですか…………」





「うん、だからねアイツに伝えといてもらえないかな?"地獄を見ろ"って……………」





「え?」





地獄を見ろ






って一体どういう意味?





「「ゆあ!!」」





その言葉の意味を
尋ねるより先に
私の名前を呼ぶ
声が聞こえる





「紀田と瑠威!?」
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