となりの紀田くん



「紀田は……?」





「要さんだっけ?その人のところに行ったよ………」






梓くんが気まずそうに言う。






何で要さん?
私のことより要さんが大事?






泣きそうになるけれど
グッと涙を堪える






「あ、あのね!ゆあがこうなったのは………その要さんって人の仕業らしいの!」






そんな私の表情を見るなり
鈴が慌てて言葉を付け足す。






は?
要さんの仕業?






「どういうこと?」





私は鈴から事の全てを
明かしてもらった。





つまり…………





私と紀田がただならぬ
関係ではないと疑った要さんは
私の存在が邪魔だと思った……






そしてそこへちょうど
たまたま昨日、紀田が
懲らしめた強面お兄さんたちが
私たちの悪口を言ってる
ところを聞いて






私を海の中へ引きずり込むように
頼んだというわけか………






「何それ………」





怒りも通り越して
呆れ声になってしまう





一歩間違えれば
人殺しになるところ
だったんだぞ…………






しかも自分の手は汚さずに
他人を利用するあたり
天使の笑顔に秘められた
腹黒さが滲み出ている………






「だから………きっと紀田くんは………」






私は鈴の言葉を最後まで
聞かないうちに
別荘を飛び出した。

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