となりの紀田くん



私の胸元に残っている
赤い斑点……




私って確か紀田の
パーカー着たまま
海で遊んでたんだよね?




ってことは私が
足を引っ張られて
溺れたときに




きっとみんなに
見られていても
おかしくはない……





「あ、ありえなぁあああああああぃっ!!!」





優亜の叫び声は………
二階の柚の部屋まで
響き渡っていた





自室で宿題をしていた柚は





「ゆあ、うるせぇ」




と呟いたのだった………。





ーーーーーーーー




後日…………




紀田に電話して
聞いてみたら
「ああ…それね」
と軽く笑う





どうやら紀田が
誰にも見られない
ように死守してくれたらしい





「よかったぁ~!!紀田ありがとう」





素直にお礼を言い
安心してそっと
胸を撫で下ろした





のも束の間………





「やっぱ…お前バカだわ」





いきなり人を
バカ呼ばわりしやがる




「ば、バカじゃないし!!」





「いや………バカだろ」




クスッと笑う紀田
な、何だっていうのよ!?




「だって……お前の"ソレ"死守したってことは……俺がお前を着替えさせたって事だぞ?」




はっ!!




確かに私は起きたときに
水着から私服に着替えていた…




って………えぇええええええっ!?




一気に染まる顔に
上昇する体温………




そしてもうひとつ………




「…クスッ………じっくりと拝見させて頂きました……」





こいつに対しての
怒りと憎悪は鳴りやみません。





「こ………この……変態野郎がぁあああああああっ!!!!!」




優亜の怒鳴り声は
家の外まで響き
渡っていた…………




「まじ、うるせぇ…しかも、変態野郎って何だよ?……ま、まさか!!泥棒!?」




柚は家の前で
大きな勘違いを
したのであったーーー

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