捨てられママでしたが、天才外科医に独占欲全開で溺愛されています
あっという間に智也は伝い歩きができるようになった。

ちょっとするとドスンと座り、びっくりして泣き出してしまう。

抱き上げながら、
「ともくん、大丈夫。大丈夫。上手にたっちできてたよ。」

智也は私の胸に顔を擦り寄せ泣いているが、すぐに泣き止み、また下へおろすとすぐに机につかまる。
膝を曲げ伸ばししながら楽しそうにしている。
あー、あー、と大きな声も出るようになってきた。

もうすぐ1歳…
産休、育休が終わってしまう。
 
私の働いている病院は院内保育があり、保育園探しに困ることはない。
ただ、あと少しで確実に智也と離れ、働かなければならない時間ができると言うことだ。

智也、私がいないと泣くよね。
私だって心配で仕方ない。

24時間ずっと2人なんだもの。

智也の知ってる人は真帆とおばちゃんだけ。

最近は2人が来ると喜んでハイハイしていく姿に2人もメロメロだ。

「ともくん!はい。お土産だよ。」  

真帆が木の車のおもちゃをくれた。

智也は遊び方がわからず振り回すと真帆がブーブーとタイヤを転がす。

智也は真似しようとするがなかなか上手くいかず、かじっている。

「ともくん、大きくなったよね〜。どんどん可愛くなるね。最初は天使だと思ったけど、今はさらに可愛くなっててどうしたらいいのかしら。」

「真帆、良く言い過ぎだから。」

「でもさ、出産に立ち会ったじゃない?なんだか私まで産んだ気分でともくんが子供のように可愛くてしかたないんだよね。」

「真帆には本当感謝してるの。お礼したくてもどうしていいかわからないくらいなの。今度まとめてさせてね。」

「何言ってるのよ!こうしてともくんの成長を一緒に見させてもらうだけで嬉しい。お礼されたら来れなくなる。絶対にしないでよ。したらもう来るなってことだと思うからね!」

「ありがとう。真帆にもだけどおばちゃんにも感謝してるの。」

「お母さん?あれはもう自分の孫だと思ってるから…。ヤバいよ。来てない日は写真とか動画見て過ごしてるから。スマホの待ち受けもこの前撮ったツーショットだから!」

「ふふ、でも本当にうれしい。智也におばあちゃんができて。」

「千佳の両親は知ってるの?」

「うん。出産の時に知らせた。けど…おめでとうって言われ、お金が送られてきておしまい。その後も連絡こないよ。」

「そっか……。じゃ、うちのお母さんがばぁばだね。言っとくわ。足が地につかなくなるくらい喜ぶよ。」

「うん。たった1人のおばあちゃんよ。」


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