東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

東京ストレンジャーズ・5

伽藍学園内校庭。
黒ずくめの男と遥、剛太が対峙していた。それを見つめるカミラ。

「僕の学校内で勝手な事するんじゃない!」
校舎の昇降口から、男が叫ぶ。
伽藍学園生徒会長、摂津秋房である。
様相が様変わりし過ぎていた。
体は異常に細くなってるし、銀髪である。ゆっくりと校庭に降りてくる。

遥は目を疑った。
何?何故?どうして?え?

それもそのはずである。
長野にて遥達に追い詰められ、自爆した。筈であった。
その摂津秋房が何故?

「王道遥、鬼を簡単に殺せると思うなよ。あの程度のダメージで、僕が死んだと思ったかい?」
摂津は笑う。
遥は笑えなかった。
どれだけの犠牲とダメージを負って、僕達が追い詰めたと思ってるんだ。瀕死でやっと勝ったと思ったのに!
【まさか彼奴め、生きておったか】
伊號丸も驚嘆していた。

「それよりお前!」
摂津が一歩踏み出すと同時に、摂津の右腕が伸びた。鬼の王・摂津秋房の得意な動きである。
遥は知っていたが、初見の剛太とカミラは驚いていた。
伸びた腕は、黒ずくめの男の胸ぐらを掴むと、ずるずると引きづり摂津の前まで到達した。
「何がしたい、お前」
男は話さない。
視線が交錯する。
「イメージが変わったな」
遥は動揺した。知り合いなのか、この2人。
剛太は整理する。書を盗んで読んだのがあの男だとして、知り合いがいる?それも鬼だと…。
「遥さん、あの男は?鬼?何だ?何があったのです⁉︎」
「生徒会長ですよ。ここの。僕達で斃したはずでした」
遥は、苦虫を噛み潰したような表情だった。
剛太は頭を巡らせる。この2人が知り合いだとすると、書が盗まれたあの日の事を知っていたのか?何かの利害関係が生まれている?だが、今仲違いしているように見える、が何故だ?

「その力見せてみろ」
摂津秋房が言った。








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