東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
『摂津秋房VS謎の男』

少し距離を取ると、摂津が拳を繰り出した。左の3連撃である。
男はいとも容易くパーリングで、初弾2撃目を迎撃して3発目は雷撃掌を合わせて見せた。摂津は臆する様子もない。
カミラは神妙な面持ちで見ていた。
摂津の右ストレートwith爪も、すれすれの所で躱してみせた。動体視力の賜物である。
摂津のミドルキックは、腕で完全にガードしてみせた。
「人がこれを為せるのか」
鼻を鳴らし、腕を止めた。

剛太は、驚きを隠せなかった。目の当たりにする禁断の書を目にした者の動きと“鬼”と言っていたか。
話の筋からすると、王道遥と戦ったらしく、死んだ筈だとも。
魍魎妖物界の長、鬼。オーガ。
実際遭った事も、存在を詮索するような人生は歩んで来なかった。
実在するモノなのか。
その圧倒的な存在感と、纏っている気の塊の質が違う。
圧倒される。
書が奪われた時に、このような展開が待ち構えていたのだろうか?
書の持つ引きの強さだろうか?
因果関係は定かではないが、偶発的ではない。そんな気持ちが優先された。
そして。

こんなモノたちに、自分が対応出来るのか?
不安になった。






伽藍学園下。
自分の右肩から突き出た、細長い骨のような物を見て甲児は。
「なんじゃ、コリャ⁉︎」と叫んだ。
背中側から、分厚い肩の筋肉を貫いてそれは伸びていた。
「バタバタ邪魔じゃからな」
白装束の男が面倒臭そうに呟いた。
顔には白い隈取りが。
剣鬼・斜骸丸の具現化体であった。










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