東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

東京ストレンジャーズ・6

「これは何だ?」と甲児。
「骨だ」と斜骸丸。
「骨?」
「まあ、儂の刀じゃ」
訳のわからない話を、飛鳥は離れた位置で聞いていた。
なんなんだ?コレは?

肩から突き出たそれを、甲児は左手で摘んで抜いた。血が吹き出たが、鼻息荒く力を込めると血が止まっていた。傷は浅いようだ。
「これ骨か?」
甲児が、左手で抜いたそれをまじまじと見ながら言った。
それは、白くて薄い長さ30センチ程の弓型の物で、甲児の血で濡れていた。
「骨であり、刀だ」
斜骸丸の右手にはこれまた白い刀剣が握られていた。長さ1メートル超え。
奇妙なその剣は、先程の白い弓型が幾重にも重なり合い、1本の刀の形を成していた。
「骨を貰うぞ」
そう言うと、刀を構えた。
「馬鹿か?」甲児も構えた。

『無敵丸甲児VS斜骸丸』

刀剣を持った相手だからで、あろうか甲児の構えはアマレススタイルじゃなかった。左腕と右腕を上下に前へ伸ばしている。骨法の構えである。
実戦形式を重んじる骨法では、抜き身の日本刀を相手に立ち回る事も想定済みである。
じりっ、じりっと距離を詰める。
斜骸丸は片手で無造作に刀を握っているように見える。
先に動いたのは甲児である。
左手の甲で、刀を鋭く叩くと同時に最短最速で斜骸丸の体の左手へ回った。
刀を振り上げる隙さえ与えない見事な動きだった。
2メートル近い巨体が、頭2つは小さい相手へ回り込む様は、それだけで感嘆するものだった。
その間に斜骸丸の空いている左腕を捕らえており、固めながらバックへ回った。
疾い!
奇妙な白い刀を持った右腕を背後から握りしめた。
万力の様な握力で握ると、刀を落としていた。
両腕ごと斜骸丸の身体を抱えた。指と指とで腹の所でクラッチした。
誰かが言っていた。
人はジャーマンに憧れる、と。
その通りである。









< 21 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop