東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

東京ストレンジャーズ・11

何が起こった?
フェイは、うずくまりながら思った。
腹から胸まで斬られたが、疵はそれほど深くなかった。それが幸いだった。流れる血の感触が気持ち悪かった。
初めての経験である。
(相手の攻撃を受けた)
クスッと笑った。
フェイ・ドラン14歳。
世の中にはまだまだ知らない事がある。
しみじみと思った。
脂汗が止まらない。不思議と逃げようとは思わなかった。
仲間がいる。守る!

『斜骸丸VS藤堂飛鳥&マイク・ゴールドスミス&フェイ・ドラン(アストラルワン)』

不思議な雲が消えた瞬間、飛鳥とマイクは臨戦態勢に入った。
斬られた。2人にはそう見えた。雲が切れるのか?疑問符。

左脚の無い2人は、こちらから仕掛ける事は出来ない。
そうではなかった。
マイクのとった行動は。
残った右腕と右脚を使って、器用に地面を滑るように前進した。
斜骸丸の足下2メートルに近づくと、その先の地面へ向かって爆砕打を放った。
アスファルトが爆ぜた!
粉塵が上がり、アスファルトが細かい弾丸に変わり斜骸丸を襲った。
事もなげに身を捩って躱すと、その先には飛鳥の拳が待っていた。
マイクが作ってくれたこの好機、逃すものか!
反発式の渾身の除霊弾を右拳にのせた。
物凄い炸裂音が響き、斜骸丸の身体が吹っ飛んでいた。そのまま5メートルも飛ばされ、地面に激突していた。
斜骸丸は、飛鳥の一撃を左肩で受けていた。その証拠に左肩が大きく凹んで歪んでいた。
飛鳥は勢いあまって、前転して地面に転がった。
倒れた斜骸丸の頭上に小さな雲の塊があった。小さくなったアストラルワンである。
小さくなるとスピードが上がる!
アストラルワンの右腕は、細い錐のように伸びて斜骸丸の顔を襲った。疾い!
錐の様な腕が、斜骸丸の頬から貫いていた。












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