東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
遥は泣いていた。
それは、涙かどうかもわからなかった。
感情が吹き荒れすぎて、どのような状態なのかもわからなかった。

伊號丸は、木刀の中で遥の感情を感じていた。
先程より落ち着いてはいたが、怒りの炎は消えていない。
ぶすぶすと燻っているのだ。
その芯は、どす黒く燃えていた。

遥の眼には感情が見えなかった。
くすんだ瞳に生気すらなかった。

一体、何がどうなっている?
遥の中に感情が渦巻く。

その遥の背中を見てから、三島木怜一は背を向けて歩き出した。
脚元には、黒ずくめの男が倒れたままだった。
校門近くに立つ無敵丸剛太の横を通り過ぎたが、お互い視線を合わせる事はなかった。

生垣に隠れていたカミラは、その状況を息を潜めて見守るしかなかった。










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