東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

辞世の句其の弍

◆藤堂飛鳥

俺は何をしている。
遥さん、すみません。

一体アレは何だったのだ?
異形のモノ。
鬼とは違う、魑魅魍魎。

しかし、思い当たる節はあったのだ。
似たような感じを知っていた。
いや、感じていた。
遥。
纏っている雰囲気が似ていたのだ。
木刀を持って。
あの感じ…。

今となっては、もう…。


マイクが使ってくれたチャンスだった。
渾身のパンチを肩で受けられて、肩を壊した感覚はあった。
ただ、怯まない精神もまた。
吹っ飛んだ先で、雲のような塊が彼奴を攻撃して顔に傷をつけた。
それでも怯まなかった。
刀に依る執着心。それに負けた。
あのような大剣を躱す術はなかった。

力を使い果たし地面に転がった時、左肩が上になった。
左肩から心臓まで斬り裂かれていた。
血の奔流が熱かった。
終わったのだ。確信した。

遥さん、王道家に恩返しがしたかった。
それで始まった帯同である。
祖父がどのようにして世話になったのかも判った旅だった。
祖父が残した、王道家の者に恩を返してほしい旨、成就できただろうか?
もっと、もっと、何か。
一緒にいたかった。
この先、学園で何が起こっているのか。
俺に協力する事はできなかっただろうか。後悔しかない。
霧華さんは無事だったろうか…。

遥さん、そちらに向かう事は叶いません。申し訳ない。
俺はもう…。

薄れていく意識の中、飛鳥は学園の方、遥がいるであろう上を向いて事切れた。



藤堂飛鳥死亡。












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