東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

轟々たる業

校門を抜けた霧華の彼氏、三島木怜一は坂を下らず左方から住宅地を抜ける道へ消えた。

そのすぐ後、坂を登って校門へ辿り着いた者があった。
白装束の剣鬼・斜骸丸と飛鳥らとの闘いを抜けてきた無敵丸甲児である。
2メートル近い巨躯で校門を通ると、これまた2メートル近い無敵丸剛太と遭遇した。
同門の2人であるが、その体格にはやや優劣があった。剛太は宗家直伝の空手がベースとしていて、筋肉はあるが体格はしゅっとしていた。
それに反発してプロレスをベースとした甲児はの体は、分厚く巨大であった。
お互いの視線が絡み合う。
キラーズ・コード発出の為上京した2人だが、顔を合わせるのは此処が初めてである。
実際の生活の中でも、従兄弟ではあるが顔を合わせるのは数十年振りの事だ。
宗家である剛太に、甲児は軽く会釈した。
「久しぶりだな」と剛太。
甲児は憮然としたまま答えない。

伽藍学園内校庭、6人の男女がいた。




三島木怜一は、とある住宅のそばで血の匂いに気がついた。
住宅の中を覗くと、門扉の横手に前のめりで倒れている少年を見つけた。夥しい血が流れていた。
軽く合掌するとその場を後にする。
程なく、空気の違和感を感じ「結界か」と呟いた。
学園を中心とした結界の最端である。
遥の事を案じ、学園へ目を馳せる。
一陣の風が凪いだ。










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