東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
到着した。
足音は雪駄のものであり、濃紺の着物は鮮やかであった。
鳳竜堂柊一であった。

すかさず、無敵丸剛太と甲児はそちらに向き直りひざまづき最敬礼をとる。
「お久しぶりです。柊一様」
剛太である。
「構わない、直って」
柊一は慇懃である。

その様子を遥は見ていた。
柊一は遥に声を掛ける。
「遅くなりました。申し訳ない」
チリチリ。
その後、柊一は驚愕して叫ぶ!
「何故、摂津秋房がいるんだァーっ⁉︎」
摂津が遥の横にいる!その事実にも驚愕したのだった。
チリチリ。
別の感情。

【遥殿!今はそれどころじゃない!斜骸が近づいて来たおる!】
【………】
チリチリチリチリ。
斜骸丸の接近とはまた別の。

遥は問うた。
「剛太さん。どういうこと?柊一とは知り合いなの?」
?????
剛太は遥と柊一の顔を交互に見返す。
「柊一様、伝えてはないのですか?」
「別件で動いていたのだ。こちらの用件ではなかった。まさか、キラーズ・コードが発動するとは思わなかった」
「剛太さん!」
遥が急かす。剛太は遥に向き直り、
「鳳竜堂柊一様はご存知ですね。こちらは国家公認最大蔵書管理部“書院”の管理官です。つまり、私共の上司です」

柊一が“書院”の管理官?そういえば柊一のお寺には書物が沢山あると言っていたような…。
チリチリチリチリ。
焦げる。燻りが炎へと変わる。
「何故言わなかったの?」
柊一は答える。
「別件だった。まさか、繋がってくるとは思わなかった。予想だにしなかったのだ」
「何故、姉さんがこんな目に遭わなきゃならないんだ!」
「…………」
柊一は間を置いてから。
「それより、何故摂津と一緒にいる?死んだ筈ではなかったのか?」
「話が食い違い過ぎる」
遥は木刀を握り直す。
【遥殿!斜骸が来る!】

何がどうしてこうなったのか。

動き出す。









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