東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

ダークサイドへ

どん。
どん。
どん。
動き出した!
何故そうなったのか。
遥は柊一へ向かって行った。
剛太は柊一を守るべく盾となった。
しかし、それは阻止された。
黒ずくめの男は、甲児に首を掴まれたまま甲児の腹を蹴り、その勢いを利用して剛太の顔を蹴っていた。
横から不意を突かれた剛太は直撃を喰らい、校庭のトラックへ吹っ飛んだ。

甲児はそれでも首を掴んでいたが、黒ずくめの男はプロレスさながら、体の振り子を利用して甲児を巻き込んで投げようとした。回転した2人の身体は、柊一の前を通り過ぎて転がっていった。

間髪入れず遥の木刀が柊一を襲う。
「護符連陣・防御壁」
呟きながら、柊一は胸元から上下に両手を拡げた。護符が上下に3枚ずつの幅を保って広がり壁を作る。
そこを叩いた木刀は、バチッという音と共に弾かれていた。
何故だ、設定不足とは言え僕達が闘う羽目になるとは。
柊一は理不尽な攻撃に辟易した。
護符連陣の次の手を用意している時、遥が泣いている事に気が付いた。
⁉︎
まさか…。
「霧華さんに何かあったのか⁉︎」
柊一の問いに遥の動きが止まる。
遥はゆっくりと顔を上げると、柊一の眼を見据えてから。
「姉さんは死んだ。死んでしまったんだよ」
遥の目から大粒の涙が溢れた。
柊一の瞳から色が消えた。
なんてことだ。
まさか、そんな事が…。
気が堕ちていく。


ダークサイドへ。









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