東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
堕ちていく。
柊一はフラつく体を必死に堪え、かろうじて立っていた。
何故そんなことになった、長野で遭った事がとても不自然なことに思えた。
虚構と現実、歪んで境界がわからない。
自分のやっていることの不甲斐なさが押し寄せ、潰されそうになる。
守ってあげたかった。
守るために動いていた、そいっても過言ではない。
虚像である。自分が見えない。

遥が見える。
実像なのか、見えているだけで実感がない。狼狽えているのがわかる。
実の姉弟なのだ、仕方のない事だ。
そのはけ口が自分であるなら、それもそれでいい。甘んじて受け入れよう。
ただ、無闇に暴れ回るその凶行は解せない。柊一は護符に手を掛けた。

遥は理解できなかった。
自分の行動である。
つい攻撃してしまった。柊一を。
一緒に旅して、一度は鬼の王を斃した仲間を、である。
恥ずべき。
冷静を保とうと、柊一を見返すとあらぬ光景が待っていた。










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