東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン

龍王院真琴

真琴は駅を降りて、その足を伽藍学園へ向けた。その足取りは重い。
歩道を歩いていたが、その横の車道に車はまばらだった。
ふと気がついた。なんだろう?
気にしなければ全くわからない些末なこと。ただ、気にしてしまうと目についてしまい、逆に追ってしまう。そんなこと。
それはガードレールの下、小さな白いモノが刺さっていた。その上部は尖っていて、しかも鋭利である。
ちゃんと測ってはいないが、距離を空けて等間隔に並んでいるようだ。
刺さっているのが分かるのは、ひとつ抜いてみたからだった。白く薄く軽い。
なんだろう?その白くて小さな鋭利なモノを観察するが判らなかった。
ただ、骨のようであった。

ガードレールの下に注視して、しばらく歩いていたが、ガードレールが切れて信号のない横断歩道があった。
その横に子供がいた。まだ低学年だろう子供が。
嫌な予感がして、そこから目が離せない。左右を確認して、車が来ない事を確認していた。しかし、一人で渡らせるには危険だと判断して駆け寄ろうとした。
幸い車は少ない。と思っていたら、向こう側から猛スピードで走って来る自動車を真琴は視認した。
渡ってはいけない!
危険を察知して、ダッシュする。子供はまだ渡ろうとはしてない。
間に合う。そう確信した時、驚愕の事態になった。
向かってくる自動車の、左前のタイヤが鳴り響く破裂音と共にバーストした。
急激にバランスを崩した車は蛇行する。
右、左と繰り返しガードレールに激突した。それでも止まらなかった。
スピードと進入角度、ガードレールへのぶつかり方。その全てが揃った時、その車はガードレールを踏み台にして宙高く舞い上がっていた。
そして、その先には運悪く子供と真琴がいたのであった。






伽藍学園内校庭、鳳竜堂柊一の背中のオロチの顎が開いた。頭上と左右4つの頭が遥に襲いかかる。
遥は青黒く光る木刀にて迎え討つ。
気の錬成は普段からするとかなり高い。
剣鬼・伊號丸の協力なしでもここまでの錬成が出来るとは、当の伊號丸でさえ驚いていた。
遥は目の前で大きな弧を描くと、4つの首を綺麗に薙いだ。ごぉっという音と共に炎が上がった。
柊一の護符は、紙で出来ているので火と炎を苦手としていた。
ただ、それで終わらなかった。首だけとなった4つの大蛇の首は、大きな顎を開いたまま遥を襲ってきた。
それを木刀で薙ぎ払った遥だったが、大蛇を作っていた護符はそのまま炎上して遥の周りの空気を灼いた。熱波を避けるように遥は距離をとった。









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