東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
真琴の話。
空中を飛んで来る乗用車を見上げていた。子供を守る。
するべき事は判っていた。
亞軀斗(あくと)。
あと何発打てる?そんな事を考えていたのは何時だった?
亞軀斗は、向かってくる力量に対して等価の力量を返す。だだし、その力量は自分にも返ってくる。諸刃の剣である。
車なんて飛ばしたら、どんな事になるんだろう?やった事もない。

真琴は、臆する事なく亞軀斗を放っていた。

飛んで来た車は、真琴を軸に90度、歩道の向こうちょうど駐車場がある所へ飛んで行き、轟音を上げて看板に激突して停止した。

真琴は。
車と反対方向、車道側へ飛ばされていた。その時真琴は子供を視認して、助かったことを理解した。
ほっとして足から着地した瞬間、走ってきた乗用車に跳ねられた。
宙高く飛ばされ、地面叩きつけられた。
痛みに朦朧としながら見たもの。
虚ろに見上げた先、亞軀斗で飛ばした車があった。
そのタイヤに白いモノが刺さっているのを見たのだ。
あれは何?
もう眠い…。
柊一…。
そこまで考えるのが精一杯だった。
真琴は、絶命した。


この出来事は、朝の事で柊一はまだこの事を知らないでいた。










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