東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
鳳竜堂柊一の護符連陣。
大技を繰り出す程、霊力を削がれる。
八岐大蛇顕現は大技中の大技である。相手が遥だったから、使ったのもあったがもう一つ理由があった。
残った4つの大蛇の首を、四方へ飛ばしたのである。
一つは、剛太と斜骸丸の所へ。
一つは、甲児と黒ずくめの男の所へ。
一つは、摂津とカミラの所へ。
残る一つはもう一度、遥の所へ。

柊一の霊力は限界に近かった。その時思わず、真琴!と叫んでしまう。
その時の感覚。
もう何時間も前に真琴は亡くなっていた。のだが。
柊一の周りの空気。
ふわりと風が撫でた。
温かく、懐かしい。
しかし、なんだろう?
その感じは、喪失感であった。
「真琴?」
呼びかけた時、瞬時に理解した。
真琴は死んだのだ。
柊一は、背中に感じていた。
掌の感触を。
真琴。
いつもこうして、支えてくれていた。
大切なものに、何故失ってから気がつくのか。
すまない。
涙が溢れた。

すると。
もう、仕方ないなー。
真琴の声が聞こえた気がした。
瞬間。
柊一の体の中から、爆発的な霊力が湧き出したのである。
「うおあああああああーッ!!」
柊一は叫んだ。
そのまま霊力は大蛇の頭に流れ込んでいった。



















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