東京血風録4 ダークサイド・イリュージョン
其れは。
奇妙であり、絶世の美しさ、でもあった。
紋様が描かれた護符が舞い、骨が散り、爪が肉を抉ったのだ。

書院の若き当主と鬼の王と秘匿文書護衛員と、で。

名もなき護符連陣は、風に舞う木の葉の如く宙を舞い、斜骸丸の身体を切り刻んだ。
それに、拍車をかけるように摂津秋房の腕は引き、爪と指とが脇腹を抉った。

その時。
「この時を待っていた!」
護符の吹雪の中を、黄色い閃光が疾る。
鋭いレイピアが踊る。
貫丸。
高速で走り、神速で伸ばした剣は斜骸丸の心臓を貫いていた。
上半身裸、包帯が襷に巻かれていた。
舞い上がる護符の影響で、顔や腕に疵を負っていた。それを怯まず。
「詰めが甘いんだよ!完全にとどめを刺さなかったお前がよ!」

貫丸は神奈川で致命傷は負ったが、なんとか生きていた。
その足で、斜骸丸を追って来たのだ。
執念の成せる業であった。

この好機を逃さんとばかり、無敵丸剛太は疾った。宙を舞う護符は、構わず剛太の身体も切り裂いたがお構いなしだった。
左手一本で決める。
無敵弾・乙

貫丸に心の臓を貫かれ、摂津に引かれて、半身になった斜骸丸の右脇腹がそこにはあった。

踏み込んだ左脚から派生したチャクラは太腿から股、腰へと伝導し左腕へと到達した。
渾身の一撃。
剛太の左掌は爆裂した。

それは、骨であったからか、または生まれたてで脆かったからは判然としなかったが、文字通り爆裂したのだ!
太い背骨を残して、斜骸丸の腹の回りの肉と骨は霧散していた。
ぐあ。
斜骸丸は、前屈みになりながらも必死に倒れるのを堪えていた。

「無残だな」
そう言う摂津を睨むがそれだけだった。

泣きながら、柊一は見つめていた。

「甲児イィィィッ!!」
涙と怒号で放った剛太の前蹴り、フィンが残った背骨を貫いていた。
ボキッ、という音と共に支えを失った巨大な上半身は、どぉ、と崩れ落ちた。
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