√セッテン
敦子は上機嫌で俺のとなりに来ると

ポケットにつっこんでいた俺の手に自分の腕を絡めた。

「彼女が欲しくなったら、まず私に言ってね、てか、これだけは言っておくけど、私が他の人と付き合いはじめてから、惜しいことした!とか思っても遅いからね!」

言い方に思わず笑うと、敦子はムッっとした。

「なにその笑い、余裕っぽい。いつか私だって潤を捨てる日がくるかもしれないんだから!」

笑い続けると、敦子にも笑いが移った。

「私、もっと毎日を大切に生きるよ」

敦子は背伸びして、それからくるくると回転した。

それが、悲しみと苦しみの中から、敦子の得た答えなのだろう。

敦子の笑顔は、前よりずっと輝いて見えた。

「山岡に、クレープ買ってくか」

「そうだね、早く行かないと、! 急ごっ」

敦子は言って腕を強引に引いて走り出した。

怒鳴る、喚く、無茶する。

そんな敦子に、いつも通りにため息をする。

クレープで両手がふさがった状態で、敦子を追った。

「敦子、一応聞いておくけど、お前赤点は回避できたんだろうな!」
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