君と旅の途中
「なんか……不思議な子だったね。何考えてるのかわからないっていうか、つかみどころがないっていうか。変人っていうか? 都生はその紙どうするの?」
眉をひそめて毒を吐く穂希に、ヒクッと唇の端を震わせた。
「うわ、穂希ちゃん辛辣……。まぁ、とりあえず無視だろ。もし困ったことがあったら連絡しようかな」
連絡先が書かれた紙に目を落としポツリと呟いた俺に、穂希は軽く頷いた。
「そうだね。……あ。話は変わるけど、都生。私の誕生日予定空けといてよ? まだどっちの家でやるかは決まってないけど、誕生日パーティーを開くのは確定なんだからね?」
「はぁ? いわれなくともわかってるが? 当たり前だろ。何年一緒にいると思ってんだよ」
穂希の言葉に眉をひそめると、穂希はミクルのことなんてもう忘れたとでも言いたげに、さもうれし気に楽しい笑い声をあげた。
「よかった~。安心したよ」
楽し気な笑い声とは裏腹に眉はハの字に下がっていて、俺はぐっと息を呑んだ。