君と旅の途中
今穂希は随分と気分が不安定らしい。
きっと穂希は何かに不安を抱えていて、自分のあたり前が崩れてしまうことに恐れているんだろう。
……まぁ、何かというのは、間違いなく彼氏方面だろうけど。
それが俺まで変に行動を起こして、ますます不安に思わせるわけにはいかない。
俺はただの『幼馴染』だ。
昔からずっと一緒で、ゆるぎない関係で、存在。
俺まで変わってはいけない。
そんな思いが沸き上がってきて、俺はふっと笑って穂希の頭をポンポンと軽く撫でた。
「心配せずとも、俺はずっと変わらず俺だし。ずっと穂希のそばにいるよ」
「……」
サラリと口に出して、それから穂希のあっけにとられたような表情で我に返る。