君と旅の途中
電話越しに、風の音が聞こえて、俺はぴたりと動きを止めた。
心臓が、大きくなる。
遠くの方から車のクラクション音も聞こえて、穂希は今外にいることが分かった。
「穂希、今……どこにいるんだ?」
『公園、だよ』
「公園……?」
それを聞くと、俺は思わず立ち上がった。
薄い上着を急いで羽織り、玄関のドアを開けた。
夏が終わりかけていることもあって、冷たい風が容赦なく肌を刺す。
公園……公園?
きっとあそこだ。
俺は少し考えて、それから走り出した。
町はずれの山の中にある階段を千段上ったところにある、高台の上の公園。
そこに穂希はいた。