薄氷
手のひらに握りこんだ蝋の塊が、じんわりと熱で柔らかなものになってゆくように、とでもいえばいいのか。
少しずつ、しかし確実に、彼との関係も、彼に向ける感情も、変わってゆく。
本と、もう一つのきっかけは、数学だった。
今日は数学の宿題をやらないといけない、とある日の放課後、例によって連れに来た洸暉に、言うだけ言ってみた。
「急に当てられちゃったから。しかも明日までだし」
自分には、ノートを見せてくれるような友達はいない。
携帯で似た問題を検索したり、例題を頼りに自分でなんとかするしかない。
彼の相手をさせられた日は、家まで送ってもらってもやはり疲れて、早々にベッドに入るのが常だった。
とても数学と格闘する余裕はない。
数学、と洸暉はつぶやき返した。
手にしたものの重さを量っているような響きがあった。
うん、と答える。
「頭使うし、時間がかかるから」
彼の性欲が勝るなら、諦めるしかない。しょせん生け簀の魚だ。
そういえば彼とて理数系特進クラスなのだから、こちら以上に宿題や課題があるのではなかろうか。
少しずつ、しかし確実に、彼との関係も、彼に向ける感情も、変わってゆく。
本と、もう一つのきっかけは、数学だった。
今日は数学の宿題をやらないといけない、とある日の放課後、例によって連れに来た洸暉に、言うだけ言ってみた。
「急に当てられちゃったから。しかも明日までだし」
自分には、ノートを見せてくれるような友達はいない。
携帯で似た問題を検索したり、例題を頼りに自分でなんとかするしかない。
彼の相手をさせられた日は、家まで送ってもらってもやはり疲れて、早々にベッドに入るのが常だった。
とても数学と格闘する余裕はない。
数学、と洸暉はつぶやき返した。
手にしたものの重さを量っているような響きがあった。
うん、と答える。
「頭使うし、時間がかかるから」
彼の性欲が勝るなら、諦めるしかない。しょせん生け簀の魚だ。
そういえば彼とて理数系特進クラスなのだから、こちら以上に宿題や課題があるのではなかろうか。