きらめく星と沈黙の月
案の定、屋上に沈黙が流れる。


野球部の掛け声や、吹奏楽部の演奏がやけに聞こえてくる。


ソヨソヨと風が吹き、セミの声も運ばれてくる。


グラウンドでは、陽菜がコールドスプレーを持って部員に駆け寄っているところだった。


「陽菜、大変だよね。夏が終われば先輩は引退して、マネが陽菜だけになっちゃうんだってさ」


「へぇ…」


…陽菜の話をしても反応なしか。


黙っとけってこと…だよね。


今は一人になりたい気分なんだろう。


私が立ち入ることじゃない。


「熱中症にならないようにだけは気をつけてね」


そう言い屋上を立ち去ろうとした時。


オギが口を開いた。
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