きらめく星と沈黙の月

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「こんなところまで見送りに来てくれてありがとね!」


帰りのバスは、合宿所からは少し離れた場所に停めてある。


なのに大雅はちゃんと見送りに来てくれた。


「おーい、月川ー、早く乗れよー」


「あっはい!」


大雅に手を降ってバスの階段を上ろうとした時。


クイッとその手を握られて引き留められた。


「大雅…?」


「これ、あげるわ」


そう言って握らされたのは、銀色の指輪。


なんの装飾もないシンプルなリング。


「これ…男物じゃない?」


親指になら付けられそうだけど、他の指にはつけられない大きさだ。


「いいから受け取ってや」


内側には〝T.T.〟と彫られている。
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