きらめく星と沈黙の月
「甲子園出場が決まりました。俺をここまで育ててくれて、本当にありがとうございました」


深々頭を下げる碧に倣って、私も頭を下げる。


野球少年碧の土台はここで築かれた。


今の碧があるのは、間違いなく監督のおかげだ。


「よくやった、碧」


監督は、頭を下げたまま動かない碧の肩をポンポンと叩いた。


「監督から褒められたの、初めてっす」


「そうだろうな。お前は厳しく接する方が伸びるタイプだから」


ガハハッと豪快に笑う監督は新鮮だ。


これが、指導者の仮面を取った素の監督なんだろう。


「いいか、碧。何があっても仲間を信じろ。それが俺の最後の教えだ」

 
「はい!!」


最後の教え…か。


なんだか私の方が泣けてきちゃうな…。
< 483 / 586 >

この作品をシェア

pagetop