きらめく星と沈黙の月
中1のあの日、自分でも信じられないぐらいの憎悪が桜子に沸いた。


忘れたくても忘れられない最悪の記憶だ。


桜子があの事件をどう思っているかは分からない。


ただ、意地でも野球に関わらまいとしているところを見ると、引きずってるんだろうなとは思う。


まぁ、単に野球にも俺にも興味がないだけなのかもしれないけど。


「あのさ、桜子」


「んー?」


定期戦を観に来てほしい。


そう言いたかった。


どこかのタイミングで、俺たちの溝を埋めないといけないってことは前々から思っていた。


野球が定期戦の種目になった今年がそのチャンスだ。


定期戦まであと2週間。


それまでに誘わないと、桜子は絶対に来てくれない。
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